代表作のシェルチェア。特徴的な背もたれが、貝殻の形に似ていることからその名がついた。単なる装飾ではない。機能性、耐久性、座り心地・・・、椅子の神髄を追求しつくした結果、あの美しい形状に辿りついた。 なかでも椅子には強い思い入れがある。「家具の中で、椅子ほど人と接している時間が長いものはないでしょ?」と黒川さん。「快適に過ごすためのもの。生活の質(quality of life)を向上させる重要なもの」という考えで、試行錯誤しながらの創作活動を続けている。
SDGs(Sustainable Development Goals‐続可能な開発目標)がキーワード。 自然のものを使って生業にしているのだから、少なくとも地球や自然環境にダメージを与えないように、と最近特に考えるようになった。 日本各地で問題になっている杉や竹に鉄を組み合わせた、新しい商品の開発に鋭意取り組んでいる。「今作りたいのは、不燃木材を使った木製の防火ドア」。チープな印象がある杉材に、付加価値をつけて世の中に送り出したいという夢がある。もう一つは「大学の建築学科に通っている息子が設計した建物に、自分の家具を入れること!どうなるか分からないけどね」。